先週の日曜日、極めて珍しいフェラーリ308を取材させていただくため名古屋まで足を運びました。この308のオーナーの方とは、昨年イタリアンジョブというイタリア車のイベントにてお会いしたことをきっかけに、いろいろとやりとりをさせていただいていたのですが、今回フェラーリ専門誌のスクーデリアにて、あらためて取材させていただく運びとなったのです。

主役となった308は、5500rpmを超えたあたりからますますパワーが弾けるという高回転型のオプションエンジンをはじめ・シャシー・ボディに至るまで特注スペックとして仕立てられているモデル。しかも、ファクトリー純正の個体らしいという貴重で、そしてミステリアスな1台です。いくつか資料文献を当たってみても、同仕様の市販308が存在したという確たる手がかりを得られていないのがもどかしいのですが、その詳細ディテールについて、次号スクーデリアにて披露させていただく予定です。

この取材には、同じくフェラーリ308にお乗りのオーナーの皆さまも駆けつけてくださいました。この機会に、FRPボディモデル、スチールボディのキャブレターモデル、そしてQVという、まさに308のヒストリーを体験することができました。フェラーリを愛するオーナー様によって大切に乗られているためコンディションはどれも素晴らしく、そしてどれもが皆さんの思い入れに合わせるように微妙な表情の違いをもったオリジナリティにあふれる308たちでした。

幸運なことに6月は328、そして7月は308と、立て続けにラ ピッコラ フェラーリの世界に触れる機会を得ました。白状しますが、約30年も前、すでにこれほどまでに色鮮やかで生々しい情熱世界を、自動車というプロダクトとして世に送り出していたフェラーリに、僕はある種のショックを受けました。それは、世界で最も柔らかな羽毛の先っぽで、運転の快楽神経を撫でられているような、それはそれは心地よいショックでしたが……。