フォルクスワーゲン グループ ジャパンは9月18日、新型コンパクトモデル「up!(アップ)」を発表した。149万円からという魅力的なプライスを掲げ、10月1日より販売が開始される。
全長わずか3.5m余りのup!は、ポロよりもさらにコンパクトとなる”最も小さなフォルクスワーゲン“だ。欧州、日本など先進国をはじめ、新興国市場への導入も予定される次世代グローバルコンパクトモデルでもある。
まず、注目したいのはそのデザインだ。手がけたのは2007年よりフォルクスワーゲンAGグループのデザイン部門チーフをつとめるワルター・デ・シルヴァ氏。あの「ライカM9 チタン」をデザインするなど、プロダクトデザインの世界でもその卓越した才能を示す同氏は、現代において最も影響力のあるデザイナーのひとりでもある。今回、up!の日本上陸に合わせドイツ本国より来日したワルター・デ・シルヴァ氏は、up!のデザインについて次のように語った。
「未来のモビリティのデザインには新たなソリューションが必要です。それは”よりシンプルに具体的“なデザインです。up!のデザインは非常にシンプルです。ひと目見れば説明を必要としないほどに。これは従来までのカーデザインというより、プロダクトデザインの原理が採り入れられているためです」
「例えば、今日のプレゼンテーションで使用したアルテミデのデスクランプには、イノベーションと美とか共存しています。こうしたデザインが皆を感動させてきました。優れたプロダクトに見られる合理的でシンプルなデザイン。これが、このup!のデザインにも繋がっています」
「従来の常識にとらわれないユニークなup!ですが、もちろん100%フォルクスワーゲンであります。そのフロントマスクは初代ビートルのように親しみやすく、そして力強いCピラーはゴルフと共通するものです。オーセンティックでユニークなup!のデザインは、流行にとらわれることのないビートルやゴルフのように、モビリティのデザイン・イコンとなる可能性も秘めています。このクルマには、大きな未来があるのです」
モビリティの新たなスタイリング・アイコンとしての可能性を秘めたup! しかしその魅力はデザインだけには留まらない。
燃費性能は、フォルクスワーゲン史上最高となる23.1km/L(JC08モード)を実現。これは、新開発エンジンとなる排気量1.0リッターの直列3気筒エンジンと、そして同じくup!のために新開発されたトランスミッション、5速ASG(MTベースのシングッルクラッチ式AT)のコンビネーションによるもの。なおパワー&トルクスペックは55kW(75ps)/6200rpm、95Nm(9.7kg-m)/3000~4300rpm。900kg台の車重を活かし0-100km/h加速性能は13.9秒と、フットワークも軽快だ。
安全性能についてもクラス水準を大きく上回るもの。電子制御横滑り防止システムであるESP(フォルクスワーゲンでは全車に標準装備)やフロントサイドエアバッグの標準採用はもちろん、そのボディは欧州のEuro NCAP衝突安全テストにおいて最高評価となる5つ星を得た衝突安全ボディである。
そして何よりのニュースが、低速域での衝突危険の回避および被害軽減を目的とした自動ブレーキシステム「シティエマージェンシーブレーキ」を全車に標準装備としたことだ。これは、同クラスでは世界初となるアプローチである。
また、全長3545mm×全幅1650mm×全高1495mmという非常にコンパクトなボディでありながら、ポロにも匹敵しようかという2420mmのロングホイールベースを採用。大人4人を包みこむ抜群の居住空間を備えている。また、ラゲッジスペースにおいても通常251リッター、最大951リッターを確保。こちらも、ポロに匹敵するユーティリティを実現している。
フォルクスワーゲン up!は、装備充実のエントエリーグレード「move up!」(2ドア:149万円・4ドア:168万円)と、さらにアメニティを充実させた上級モデル「high up!」(4ドア:183万円)の全3バリエーションで展開。その親しみやすい価格もさることながら、デザイン、エコ、安全性、品質などあらゆるパートにおいて従来のコンパクトカーを超える魅力を放つ1台がここに登場したというこの事実を、up dateしていただければと思う。
Report & Photos by Mahoro Hiki