今日のスバルの発表会ではアイサイトを中心とした安全支援システムとその発展系、そして2020年に目指される自動運転についてのブリーフィングも行なわれたのですが、スバル グローバルプラットフォームに関する考察の追記です。

 質感のレベルアップとひとことで言いましても、スバルはこの新型プラットフォームでどのようなアプローチをしたのでしょうか。

 直接取材したわけではありませんので多分に憶測も含まれますが、スバルでは例えばハンドリング特性の評価として、ハンドルを操作してからヨーが立ち上がるまでの「応答時間データ」をその代用として用いています。「意のままにクルマが動く」という感性的な部分を数値化し可視化したデータをもとに設計図に落としこんで答えを見つけるための、ひとつのアプローチです。スバルはこの応答時間を短縮することが、ドライバーが「意のまま」と感じる走りの質感醸成への回答(のひとつ)と位置づけていて、すでに現行車でもこの応答時間は短縮がはかられていますし、このスバル グローバルプラットフォームでもこの部分を大きく短縮しているそうです。

 ボディの解析に関しても入力の数値化アプローチが隅々まで実験されました。数は失念してしまいましたが膨大なセンサーをボディ各所に装着し実路走行を行い、さまざまな状況でのボディ各部への入力を検証したとのこと。サスペンションへの入力に対するセンシングもサスの各ブッシュ単位で実施しています。また、エンジン、車体、パーツの振動周波数に関する検証では、このグローバルプラットフォームでは設計の時点で共振による振動増幅を回避することで、車内振動を減らすということもしているそうです。

 こうした積み重ねにより、過渡的な動きまでをコントロロールの手中にある目標性能として設計図に落としこむことを実現している模様です。数値化によるデータ評価が統一がはかれたことで、部署を横断しての「こうしたい、ああしたい」が共有しやすくなり、走りの基本となるボディのレベルアップとして具体化したのではないかと思います。

 余談ですが、プレゼンテーションの終了後に会場でサスペンションの開発を担当されたという方に「新しいプラットフォームのもとでの開発でサスペンションを目標性能を達成するまでの行程に変化はありましたか」という質問をしてみました。

 答えは、新しいボディは開発当初からサス性能も出しやすくなっていて(横力のコントロールはもちろんですが、サス取り付け部の剛性がセンシングのデータをもとに上げられているため、取り付け位置付近のボディ側のゆがみやねじれに起因する想定外のサスペンションへの横力も限りなく排除できているのだと思います)、実路走行で目標性能を出すまでのサスペンションチューニング行程も具体的に減っているそうです。サスペンション開発がしやすいということは、それだけクルマ作りに理想的なボディが造り上げられているということでしょう。

 スバルはインプレッサからレガシィまで全車種を、この新プラットフォームの設計構想で開発していくとのことです。安全性能と走りの質感向上に、会社をあげてのプラットフォーム開発でチャレンジするスバルのニューモデルは、やはり楽しみという他ありません。