スバル

4 articles tagged as スバル

 今日のスバルの発表会ではアイサイトを中心とした安全支援システムとその発展系、そして2020年に目指される自動運転についてのブリーフィングも行なわれたのですが、スバル グローバルプラットフォームに関する考察の追記です。

 質感のレベルアップとひとことで言いましても、スバルはこの新型プラットフォームでどのようなアプローチをしたのでしょうか。

 直接取材したわけではありませんので多分に憶測も含まれますが、スバルでは例えばハンドリング特性の評価として、ハンドルを操作してからヨーが立ち上がるまでの「応答時間データ」をその代用として用いています。「意のままにクルマが動く」という感性的な部分を数値化し可視化したデータをもとに設計図に落としこんで答えを見つけるための、ひとつのアプローチです。スバルはこの応答時間を短縮することが、ドライバーが「意のまま」と感じる走りの質感醸成への回答(のひとつ)と位置づけていて、すでに現行車でもこの応答時間は短縮がはかられていますし、このスバル グローバルプラットフォームでもこの部分を大きく短縮しているそうです。

 ボディの解析に関しても入力の数値化アプローチが隅々まで実験されました。数は失念してしまいましたが膨大なセンサーをボディ各所に装着し実路走行を行い、さまざまな状況でのボディ各部への入力を検証したとのこと。サスペンションへの入力に対するセンシングもサスの各ブッシュ単位で実施しています。また、エンジン、車体、パーツの振動周波数に関する検証では、このグローバルプラットフォームでは設計の時点で共振による振動増幅を回避することで、車内振動を減らすということもしているそうです。

 こうした積み重ねにより、過渡的な動きまでをコントロロールの手中にある目標性能として設計図に落としこむことを実現している模様です。数値化によるデータ評価が統一がはかれたことで、部署を横断しての「こうしたい、ああしたい」が共有しやすくなり、走りの基本となるボディのレベルアップとして具体化したのではないかと思います。

 余談ですが、プレゼンテーションの終了後に会場でサスペンションの開発を担当されたという方に「新しいプラットフォームのもとでの開発でサスペンションを目標性能を達成するまでの行程に変化はありましたか」という質問をしてみました。

 答えは、新しいボディは開発当初からサス性能も出しやすくなっていて(横力のコントロールはもちろんですが、サス取り付け部の剛性がセンシングのデータをもとに上げられているため、取り付け位置付近のボディ側のゆがみやねじれに起因する想定外のサスペンションへの横力も限りなく排除できているのだと思います)、実路走行で目標性能を出すまでのサスペンションチューニング行程も具体的に減っているそうです。サスペンション開発がしやすいということは、それだけクルマ作りに理想的なボディが造り上げられているということでしょう。

 スバルはインプレッサからレガシィまで全車種を、この新プラットフォームの設計構想で開発していくとのことです。安全性能と走りの質感向上に、会社をあげてのプラットフォーム開発でチャレンジするスバルのニューモデルは、やはり楽しみという他ありません。

 今日は恵比寿のスバル本社で開催された次世代SUBARU2016説明会に参加し、初公開された新型プラットフォーム「スバル グローバルプラットフォーム」などスバルの市販車に搭載される新技術を見てきました。

 スバル グローバルプラットフォームは2025年までを視野に入れた新開発のプラットフォーム。スバルの特徴であるボクサーエンジンやAWDといったパワートレーンはもちろん、ハイブリッドユニットの進化や完全電動パワーユニット搭載への対応も視野にいれられた、まさに次世代スバルのコアとなるシャシーです。

 説明会では特にスバルらしい走りの質感を実現するプラットフォームであることが示されました。従来までのプラットフォーム開発では設計図に落とし込むことが困難だった質感につながるさまざまな要素を、専用試験機の自社開発や実路計測で徹底的にデータ化し評価。ボディ剛性は現行プラットフォームに対しおよそ2倍に達しているとのことですが、剛性の数値を上げるばかりではなく路面入力に対するボディの微細な変形特性も積極的にコントロールすることで、総合的な動的質感を大幅に向上させているとのこと。このスバルグローバルプラットフォーム採用の第一号車は、今年後半デビューの新型インプレッサになるそうで、非常に楽しみです。

Exif_JPEG_PICTURE

 7月10日にデビューしたスバルの新型車「インプレッサ SPORT ハイブリッド 」に試乗しました。スバルのハイブリッド第一弾は、2013年デビューの XVハイブリッド。ハイブリッドカー=燃費スペシャルという既成概念にとらわれることなく、ハイブリッドの特性を活かしスバルらしい走りの世界をさらに拡張することに挑み、そして形にしてしまった異色の1台でした。

  XVハイブリッドは現在、XVシリーズにおいて4割、またインプレッサ・シリーズ全体の販売ボリュームのうちでもおよそ2割を占めるまでに浸透。じっくり時間をかけながら市民権を獲得したこのスバル・ハイブリッドですが、インプレッサの5 Dハッチバックモデルである SPORTの新たなフラッグシップとして加わったのが、この「インプレッサ  SPORT ハイブリッド」です。昨年11月のマイナーチェンジでスポーティなスタイルとなったD型インプレッサ・シリーズですが、新型インプレッサ  SPORT ハイブリッドには専用デザインのバンパー類やアンダーモール、ガンメタリック塗装の17インチホイールといったエクステリアが与えられており非常にスポーティな外観が特徴。少し GRBの STIにも似たアグレッシブさを感じさせます。

 今回の試乗コースは、木更津市周辺の一般道。台風の影響で強い雨風に見舞われる悪条件ではありましたが、ワインディング路も含むルートで約1時間その走りを試しました。

XM3U7545

インプレッサ SPORTのガソリンモデルと全長は同一ながら、全高は+25mm、全幅は+15mm、最低地上高は−15mmとそれぞれサイズが異なる。ハイブリッドユニットの搭載位置の関係で、重心高は10mm低くなっている。

完成されたスポーティさと上質さ

 足回りはインプレッサ  SPORT ハイブリッドの専用仕様となっており、フロントサスアーム付け根ブッシュの変更、WRX用フロントクロスメンバーの採用、リアサスジオメトリの変更、専用ダンパーおよびスプリングの採用などが行われています。またタイヤも2.0リッターガソリン車の205/50R17から一回り幅広大径となる215/50R17タイヤが標準となります。つまり運動性能レベルを高めてきたということ。低回転から気持ちのよい発進加速を持ち、また中速域においても帆に風を目一杯に受けたヨットのように息の長い加速性能を発揮するレスポンスの良いハイブリッドユニットの組み合わせは、期待以上の楽しさです。

 応答性の良いフロントと高いスタビリティで荷重をしっかり受け止めるリアという前後バランスが絶妙で、WRXのように腰のあたり「グッ」と旋回を感じながらコーナーを駆け抜けることができる走り。WRXのようなマッシブさはなくとも、体を通して感じる正確な応答性を持った走りは、大雨のワインディング路にも楽しみを見い出させてくれました。モデルライフで熟成期を迎えた現行インプレッサをベースに XVで培ったハイブリッドユニットの特性を取り込み、しっかりとスバルらしい味付けのスポーティさと質感を作り上げてきた、そんな印象です。

 走りに関してもうひとつ感心してしまったことがあります。それは静かであること。雨の中ロードノイズを拾いやすい悪条件の中でも、街乗り領域でのキャビン内は非常に静粛性が高いといえます。ベースモデルもこの点では昨年のマイチェンで大きく改良されていましたが、インプレッサ  SPORT ハイブリッドにおいては静粛性が特に強化されており、走行中も耳に心地よい静けさが車内を包みます。

 やや気になったのが、イグニッションON/OFF時にのみ感じるエンジンの揺れ。どちらも「ぶるぶるっ」とボディに軽く揺れを伝えてきました。試乗できたハイブリッドはこの1台だけだったので比較ができなかったのですが、静粛性や発進加速性能、乗り味など、いずれも質感高くまとめられてるゆえ、こうした部分にも質感を求めたくなってしまうというものです。

XM3U7570

XM3U7575

XM3U7549

インプレッサ SPORT ハイブリッド。前後ライトにはクリアブルーのレンズが仕込まれている。

高められた省燃費性能

 省燃費性能も 従来型 XVハイブリッドのシステムからバージョンアップが図られています。JC08モード燃費は、従来型XVハイブリッドに対し0.4km/Lの上乗せとなる20.4km/Lとなりました。スバルのハイブリッドは、5.5 Ahの容量を持つニッケル水素バッテリーと10k Wの出力を持つトランスミッション内蔵型モーターを組み合わせたシングルモータータイプのシステムで状況に応じてEV走行も可能としていますが、インプレッサ  SPORT ハイブリッドの登場にあたり低燃費化のキーとなったのはバッテリー制御のさらなる積極活用化です。

 従来システムに対し、バッテリー充電状態が少ない状態でもバッテリー制御を活用=モーター駆動力をより積極的に使ってガソリン消費領域を軽減することで、燃費改善を果たしています。また CVTのフリクション低減やトルコンのロックアップ傾向の拡大も加え、発進加速や中間加速もよりレスポンスを高めているとのことで、これらも効率化に貢献しているでしょう。なお今回の試乗は登りのワインディングが多めだったこともあるのか、車載燃費計の数値は10km台。高速や街乗りを含めた現実的な燃費性能はいかほどが気になるところではありますが、そこまで把握するには至りませんでした。

XM3U7587

 新型インプレッサ  SPORT ハイブリッド、価格は「ハイブリッド 2.0i アイサイト」が250万5600円、快適装備やスタイリッシュな内外装パーツを充実させた「ハイブリット 2.0i-S アイサイト」が263万5200円ということで、価格面でもインプレッサ SPORTのフラッグシップということになります。

最新型アイサイトは次期型ハイブリッドからか

 インプレッサ  SPORT ハイブリッド全車に標準装備されるアイサイトはVer.2。アイサイトには、よりハイスペックの Ver.3が登場していますが、ハイブリッドモデルに関してはモーターとの協調制御を含めより複雑で大掛かりな制御プログラムでアイサイトをコントロールする必要があるとのこと。そのため今回のインプレッサ SPORT ハイブリッドでは 最新型アイサイトとの組み合わせが実現されませんでした。よりハイスペックな安全デバイスがあるならばそれとの組み合わせを期待したいものですが、 スバルとしてはアイサイトVer.2でも現時点で十分な性能とアドバンテージを持っていると言い、また最新の予防安全性能アセスメントにおいてもアイサイトVer.2搭載の XVハイブリッドで最高ランクを獲得しています。

 ハイブリッドモデルについては、現時点において技術的な蓄積と市場での実績という確実性を持つ Ver.2との組み合わせが最も優れたパッケージであるということと理解できます。人情的ではなくエンジニアリング的な方法論を優先した結果ということでしょう。もちろん研究開発は進めらていることでしょうから、次期型として登場するであろう電動化を内包するモビリティへの最新型アイサイトやアドバンスドセイフティパッケージといった先進安全装備の充実に期待したいところです。

imprezahybrid01

試乗したインプレッサ SPORT ハイブリッドのカラーはヴェネチアンレッドパール(右)。インプレッサ  SPORT ハイブリッドのテーマカラーだという鮮やかなクォーツブルーパールと比較すると対称的な印象を受けますが、スバル車では幅広い車種にラインナップされるなじみ深いカラーで、個人的な話で言えば初代レガシィ・ツーリングワゴンGTの後期型を思い起こさせるような落ち着いた色味が好みです。

http://www.subaru.jp

 8月25日にスバルから注目すべき新型車が登場しました。「WRX STI」「WRX S4」です。WRXという名が国産車の歴史に登場したのは、1992年の初代インプレッサ。公道ラリー競技の世界選手権競技であるWRCに参戦を続けていたスバルらしい命名で、以降、同選手権でのインプレッサの活躍とともにその名を知らしめるに至った、国産4WDスポーツモデルの代名詞ブランドです。

 20年以上に渡ってインプレッサのサブブランド名として与えられてきたこのWRXの名が、今回スバルのコアブランドに”昇格“、スバルのフラッグシップスポーツセダンシリーズのモデル名として、完全に独立を果たしたというわけです。

 マル改モノのSTIバージョンが投入された初代インプレッサWRXシリーズからの長い足跡を思うと、この決断には名残惜しさもあります。しかし、モータースポーツで高い戦闘力を持った強靭なシャシー性能とフラット4ターボの心臓部という強烈なアイデンティティがある以上、”期待値、期待感“といった部分では、この「最新のWRX」は、これまで通りの大きな昂りを持って多くのファンが受け止めているのではないかと思います。僕自身は新型WRX、特にSTIモデルを前にやはりそう感じました。

 ラインナップの頂点は、308psのEJ20ターボと6速MTを組み合せた「WRX STI」。スタンダードモデルである「WRX S4」にも、次世代ボクサーとしてコンパクトな燃焼室を持ち燃焼効率や排気ガス性能で新たな決意を示しているFA型をベースとした直噴2リッターターボ(DIT)エンジン、最新スペックのアイサイト(Ver.3)、リニアトロニック(CVT)など、スバルにおけるハイエンドデバイスの数々が奢られています。

 スタンダードがすでにハイエンドクラスの誂えであることからも、新しいWRXに与えられた大きな使命は、これまでのWRXシリーズ同様の超高性能ぶりを頂としつつ、同社のハイエンド・スポーツセダンの裾野を広げることであるとわかります。

 今回は同社の発表会場に足を運ぶことができましたが、中でも僕が目を奪われたのは、やはり「WRX STI」でした。

IMG_2270

 WRX S4に選ばれたFA型のDITエンジンは、一般道では強烈のひと言と言える圧倒的トルク性能(400Nm≒40.8kg-m)を持つユニットで、同時に将来を見据えた最新の燃焼室形状、エミッション性能を備えています。一般道でその性能を体感する限り、フラット4のスポーツユニットとしてすでに驚異的なスペックのエンジンだと言えます。

 一方、WRX STIは95mmのボアに大きなバルブを持つEJ20。8000回転付近でも使えるという高回転域でのパンチ力、FA20ターボに比べ僅かに軽量なエンジン本体重量などのメリットはありますが、一方で燃費性能を筆頭とする環境性能はFAに対しとてもではないが太刀打ちできない。すでに燃焼室まわりの高効率化策などは現場レベルでは「開発し尽くされた」ものだといい、エミッション性能はともかく高出力化とトレードオフとなる燃費性能の代償は、JC08モードで9.4km/lという数値を見れば、やはり時代遅れと言っても過言ではないものです。

 しかしながら、STIモデルは伝統あるEJ20のターボユニットが選ばれている。これは、スバルにとって将来的にもモータースポーツが重要なコアとなり、またカスタマーにとっても最も得意なパッケージングでその世界を体験して欲しいというこだわりの表れなのだろうと感じました。

 ゴールへの到達を確実なものとし、さらに勝利を常に目標とするモータースポーツフィールドで、スバルのEJは20年以上に渡って試され続けてきたユニットであり、性能のみならず、信頼性や耐久性、計画性といった面において最も洗練された、つまりあらゆるバグが排除された究極的なスポーツフラット4ユニットです。

IMG_3230

308ps、43.0kg-mのスペックは、従来型WRX STI(=車名インプレッサWRX STI)と同様だが、トランスミッションが専用タイプの強化版75系6速ミッションとなる。従来型の85系に対し5〜10kgレベルでは単体重量が軽いとのこと。また、スロットルペダルの踏み込みに対するスロットルオン制御をよりハイレスポンス化。シャシー性能の向上に合わせ、それを充分に生かしより一体感のある車両コントロールを味わうことができる性能が与えられた。

 スバルがこのWRXで将来に渡りモータースポーツへのチャレンジを続けて行くという姿勢、そしてそこで得られたスバルの「確信」を、スポーツカーと走りを愛してやまないカスタマーに届けたい、そういった視点が、WRX、特にSTIモデルには含まれていると感じたわけです。

 簡単に言い換えれば、それは「WRX STI」のサブブランドを受け継ぎ続けてきた歴代のインプレッサ(と、この際BC、BEのレガシィGTやRSを含めてもいいでしょう!)たちに僕らが期待し共感してきたことそのものなわけですが、そのスピリットが最新の「WRX」として受け継がれた走り始めるのだと思うと、これまでにも増して胸が熱くなると言うものです。

SUBARU WRX S4

・FA20 Turbo ”DIT“  221kW(300ps)/5600rpm,400Nm(40.8kg-m)/2000-4800rpm

・fuel consumption 13.2km/l

・Sport lineartronic

・VTD-AWD

・Eyesight Ver.3

¥3,348,000〜

subaru wrx S4 front

WRX S4は、2リッター直噴ターボ(DIT)ユニットに、8速ステップモードを搭載するスポーツリニアトロニック(CVT)ミッションを組み合せる。駆動方式は前後の不等トルク配分を基本としながら走行状況に合わせトルク分配を行なう、スバル得意のVTD-AWD。 最新バージョンのアイサイト、Ver.3を標準搭載する。

IMG_2275

SUBARU WRX STI

・EJ20 Turbo 227kW(308ps)/6400rpm,422Nm(43.0kg-m)/4400rpm

・6 Speed Manual Transmission(for WRX STI based on 75series )

・Multimode DCCD AWD

・fuel consumption 9.4km/l

¥3,790,000〜

IMG_2255

IMG_2269